1年乗って分かった!TRX850が不人気バイクである理由

1年乗って分かった!TRX850が不人気バイクである理由

TRX850に1年乗った筆者が「TRX850が不人気だった理由」について考察した記事です。

こんにちは、杉浦かおる(@munenmusou_blog)と申します。

中古のTRX850をヤフオクで購入して約1年経ちました。

この間7000キロほど走行しています。

愛知から秋田まで下道ツーリングをしたり、高速道路を5時間以上飛ばしたり…

主にワインディング主体のツーリングマシンとして活躍しています。

総じて年式を考えると悪いバイクではないと思います。

ただ、このTRX850は「不人気バイク」として有名です。

実際にGoogleで「TRX850」と検索すると

サジェストに「TRX850 不人気」と表示される始末。

公道でTRX850を見かけたのは私のバイク歴10年、合計走行距離15万キロの中でもたったの2回だけ。

名実ともに不人気バイクとして君臨しています。

私はTRX850をそれなりに気に入っています。

ただ実際に乗ってみて「これは確かに売れなかっただろうなぁ…」と感じる点がいくつかありました。

と、いうわけで今回「オーナーが思う、TRX850が売れなかった理由」を挙げていきたいと思います。

不人気バイクの記事、あまり需要はないかと思いますがご笑覧いただければ幸いです。

「新車を購入するという」観点から見たTRX850が売れなかった理由

まずはTRX850を1990年代に新車で購入するとして考え、その時代に売れなかった理由について考察していきたいと思います。

理由は一言で表すと「コンセプトが早すぎた」ということ。

TRX850が国内で販売されていたのは1995年から99年までの4年間。

この時代に「カタログスペックに現れない部分を楽しむ」というところまで市場が成熟していなかったのが敗因でしょう。

850ccという中途半端な排気量

TRX850が発売された1995年に日本では二輪免許制度の改正が起こりました。

いわゆる「限定解除」から「大型自動二輪」になったこと。

それまでは免許センターで何度も厳しい試験を受けて選ばれた人しか大型バイクに乗れなかったのですが、現在と同様に教習所で免許を取得できるようになったのです。

※免許制度の変遷についての詳しい内容は別の方が書かれたサイトをご覧いただけると良いかと思います。

80年代後半に自主規制撤廃に伴いバイクの排気量の上限が750cc以上から無制限になったことも相まって、1995年当時の大型バイクはリッタークラスが人気でした。

例えばZZR1100やXJR1200、GPZ950Rなどが挙げられます。
(1996年にはCBR1000XX「ブラックバード」も発売)

一方、TRX850は850ccという中途半端な排気量。

販売戦略としては弱いと言わざるを得ません。

1995年に大型免許を取得できるようになった直後に若者がリッターバイクと850ccどちらを選ぶかは明らかです。

現在と異なり90年代はスペック至上主義ですからこの傾向はなおさらでしょう。

杉浦かおる

なかなか人生初大型バイクに850ccを選ぶ人は少なかったのだと思われます

「270度クランク並列2気筒」が先進的すぎた

現在ではYZF-R25、アフリカツインやレブル1000、MT-07など、250ccからリッターオーバーまで幅広く採用されるようになった270度クランクの並列2気筒エンジン

ヤマハのサイトによれば実は市販バイクで初めて採用されたのがTRX850とのこと。

TRX850は地味ながらエピック的モデルであるのです。

この並列2気筒が当時受け入れられなかったのも敗因の一つでしょう。

最近では一般化しましたが、約10年前にMT-07が出た時にもこんな批判がありました。

「パラツインかよ…つまんなそう…」

今でも至上主義者がいるぐらい、バイク乗りの多くは4発エンジンが好き

最近ではこの傾向が弱まってきているものの、10年前ですらそうだったのですから1995年当時は4発以外のエンジンに対する風当たりは比べ物にならなかったのでしょう。

しかも得体の知れない270度クランクですからTRX850が敬遠されたのは想像にかたくありません。

杉浦かおる

TRX850の面白さは270度クランクのトラクション感を生かしたコーナリング。270度クランクパラツインが市場を席巻しているのはユーザーが成熟した証とも言えます。

車格が小さくて見栄が張れなかった

TRX850の車格はかなり小さく400cc並です。

重さも装備重量209キロとCB400SF程度です。

前述の通り、1995年は大型バイクが一般化した年。

見栄を張って大きなZZR1100やCB1100などメガスポーツや空冷四発の大きなバイクに乗りたがった時代です。

その中で400ccサイズのTRX850は90年代の若者にとって貧相に写ったのでしょう。

なお、TRX850の新車価格は税抜85万円。

GPZ900Rのファイナルエディションが89万円ということを考えると見た目とスペックの割に高価なバイクと言わざるを得ません。

もっとも専用フレームにブレンボ(いわゆるヤマンボ)、サスペンションは純正でフロントの減衰が調整できるなどコストが掛かっているバイクであるのは乗っていてよくわかります。

杉浦かおる

私が1995年にTRX850を85万円払って購入するかと言われたら買わないと思います。

「乗り味的観点」から考えるTRX850が売れなかった理由

次に自分がTRX850に実際に乗ってみて思った「これは売れないだろうなぁ」というポイントについて書いていきます。

悪いバイクではないのですが、公道を走るのには決して最適化されていないように感じました。

もっとも、90年代のスポーツバイクはスペック至上主義でサーキット仕様のセッティングに味付けされているものが多くこの点はTRX850に限ったことではないのですが…

杉浦かおる

90年代の2stレプリカなんて公道のこと全く考えていませんよね

フロントが重く日本の峠には不向き

TRX850はコーナリングマシンとして有名です。

しかしながらバイクを10台以上乗り継いできた自分から言わせてもらうと、「TRX850は日本の峠には向いていない」と思います。

はっきり言ってフロントが重いのです。

友人のCBR929RRの方が切り返しが早く、狭くて速度レンジの低いワインディングロードには向いていると思いました。

特に細かいカーブが続く旧碓氷峠でのツーリング時にはTRX850のフロントの重さを顕著に感じ、借りたCBRの方が速く走れたほど。

しかし、TRX850はコーナリングマシンであるのは間違いありません。

いわゆる「峠」ではなくハイスピードレンジ(80キロから120キロ)における緩やかなカーブや鈴鹿のような大きなサーキットでの走行は得意な印象です。

杉浦かおる

もっとも公道でそのスピード出すわけにもいかないわけで…

ギア比が公道向けではない

TRX850は5速ミッション。

このギア比が公道向けではないのです。

乗っていて確信しましたが、TRX850のギア比、絶対にサーキットを念頭において作られています。

街乗りなら3速すら入れずに走れてしまうこともしばしば。

特に5速は100キロになってからやっと使える始末。

新東名を120キロで走るのにはちょうどいいですが、高速の制限速度が100キロまでだった時代にこのギア比で市販したのは90年代のバイクだなと思いました。

杉浦かおる

ただ鈴鹿サーキットを走るなら一番気持ちが良さそうなギア比の設定だと思います。
8耐で活躍しただけのことがあります。

パラツインなのに下のトルクがない

このバイクは大型のパラツインにもかかわらず、下のトルクがありません。

私は過去にMT-07に乗っていたのですが、それに比べるとスッカスカと言ってもいいぐらいです。

油断すると発進時にエンストをしてしまうこともあり、今までのバイク経験からすると極低速に限っては125ccクラス並のトルク感です。

これが2stレーサーレプリカみたいで面白い部分ではあるのですが、峠でのタイトな低速コーナー(特に前が詰まっている時)では半クラを当てながら曲がらないとギクシャクしてしまうので乗りにくいところを感じます。

少なくとも850ccパラツインの低速トルクとはとても思えません。

杉浦かおる

2500回転未満がスッカスカ、4000回転からパワーバンドに入る大型バイクって珍しい。
これが面白い部分ではあるのですが4発乗ってる人だと乗りにくくてたまらないと思います。

総評:スペック至上主義の90年代には早すぎたバイク

これ以外にもちょっと野暮ったいデザイン、トラスフレームなど不人気要因はあります。

しかし「乗ると面白い」バイクなのは間違いありません

スペックに現れない性能をバイク乗りが味わうようになったのはここ10年ぐらいでしょう。

レプリカブーム冷めやらぬ1995年に登場するスポーツバイクとしてはあまりにもスペックが地味だった

TRX850が不人気バイクとなってしまった最大の要因はそれでしょう。

しかし、270度クランクパラツインを初採用したという記念碑的なマシンであるのは事実です。

これがなければYZF-R25もMT-07もYZF-R7も産まれなかったわけです。

このバイクに乗るために残された時間は決して長くありません。

純正部品の供給も徐々に打ち切られており、満足に乗れるのもあと5年ぐらいではないでしょうか?

ヤフオクならば安価に購入できるバイクです。

面白いバイクであるのは間違いありません。

興味があったら乗ってみるのをオススメします。