バイク乗りはライディングテクニックだけでなく受け身を学ぼう!
こんにちは、杉浦かおる(@munenmusou_blog)と申します。
私はバイクに乗り始めてからもうすぐ10年、走行距離は合計15万キロほどのツーリング主体のライダーです。
また、物心がついたころから武道や格闘技を練習しています。
学生時代には空手・剣道・合気道をたしなみ、現在はキックボクシングと総合格闘技をかじっています。
武道を長年やってきたバイク乗りとして思うのは、「ライダーも受け身を学ぶべき」ということ。
バイクは危険な乗り物。
後遺障害・死亡を起こす可能性があります。
事故発生時に命を守るために受け身を学ぶのは間違いなく有用です。
今回は武道を長年行っている自分が考えるライダーにとって有用な受け身やその練習法について書いていきます。
受け身の必要性について
ここらは自分が見聞き・体験した事故を通して受け身の必要性について書いていきたいと思います。
実例1:ハイサイドによる鎖骨骨折
私は大学時代にバイクサークルの会長をしていました。
その中でミニサーキットを貸し切って走行会を行うことになりました。
あいにく当日は雨で転ぶ人が続出しました。
自分もセローで何度かスリップダウンしましたが、コミネのニーシンのおかげ無傷でした。
しかし、事件が発生するのです。
走行写真を撮影しようとヘアピンの出口でカメラを構えている自分の5メートルぐらい先で参加者がハイサイド。
ライダーが2メートルぐらい浮き上がり、うつぶせに地面にたたきつけられました。
そのライダーは鎖骨骨折。
しかも唯一皮ツナギを着ていたにもかかわらずです。
今考えると前受け身を取ることができれば骨折は避けられたのではないかと思います。
実例2:交差点でスリップダウン、頭は打たなかったが下半身ボロボロ
これは学生時代の自分の苦い経験。
その頃は合気道部とバイクサークルの掛け持ち中。
週に3回合気道でボコボコに投げられたあとにバイクでバイトに行くという生活をしていました。
冬にバイトから帰る際、タイヤも温まっていないのにセローでフルバンクをしたらスリップダウン。
そのまま交差点を10メートル以上滑るはめに。
深夜だったので誰ともぶつからず単独事故でしたが、ジーンズはボロボロで靴も破れ血まみれに。
ただ、滑りながらも横受け身の姿勢になり頭をあげていたため頭部の衝撃はありませんでした。
タイヤが暖まる前にフルバンクするのはやめよう
受け身の方法
前述のような事故に対し、わずかでもケガや死亡率を下げるならば受け身を覚えておくべきです。
以下に各種武道の受け身の中から個人的に役立ちそうなものを挙げていきます。
※合気道経験者なので合気道の受け身に偏りがちなのはご容赦いただけると思います。
前受け身
顔面から地面に叩きつけられた場合の受け身です。
柔道や合気道など多くの武道で普遍的に行われるもの。
バイクの場合、叩きつけられる勢いが強いため、前受け身ではかばいきれず手の骨折も考えられます。
後述する前回り受け身が行えない状況で顔面や体幹部を守るために取る受け身として考えるべきでしょう。
前回り受け身
前回り受け身です。
これが上手に行えれば事故時に無傷で済むことも夢ではありません。
前回り受け身は武道によって少しずつ形が異なりますが、一般的な柔道のものよりもそのまま転がることができる合気道の前回り受け身の方が個人的にはおすすめできるでしょう。
(その分難易度は高いと思いますが…)
特に合気道だと体操競技のハンドスプリングのように走りながら前回り受け身を取ったりするのでより勉強になると思います。
後ろ受け身
あまりバイクで後頭部から落ちるということは考えにくいですが、受け身の基本として後ろ受け身も覚えておくべきでしょう。
これも柔道と合気道でやり方が異なります。
ヘルメットの大きさを考えると地面接触時に首を痛めそうなのでこの場合は合気道の受け身よりも柔道の後ろ受け身の方がいいのではないかと思います。
横受け身
横向きに放り投げられた時の受け身です。
スリップダウンした際はこの姿勢で滑っていくことになると思います。
柔道の横受け身は寝たまま行えますので習得難易度はこれらの受け身の中で一番低いのではないでしょうか。
飛び受け身
合気道の小手返し等における受け身です。
バイクで腕が引っかかったまま投げ出される場合等に使えると思います。
なお習得難易度が非常に高いため、余談程度に思っていただければいいと思います。
飛び受け身の習得は週3回の部活でも半年かかりました
受け身の練習法
受け身の練習のために合気道や柔道の道場の門を叩けとはさすがに言えません。
ただ、家庭でも受け身の練習は可能です。
武道の経験者に教えてもらう
自宅に和室があればそこに布団を敷いて受け身を取ってみましょう。
その際、友人に柔道や合気道、少林寺拳法等、受け身を必要とする武道経験者がいればその人たちに教えてもらうのが一番です。
受け身は立ち技のように鏡を見ながら行うのは困難なため、誰かに教えてもらうのが大事だと思います。
厳しい人だと「アスファルトの上で受け身を取れ!」と言われるかもしれませんが。
柔道・合気道経験者、酔っぱらうとアスファルトの上で受け身とりがち
普段のバイク装備で受け身を取る
受け身のイロハが分かったら実際にバイクジャケットやヘルメットを被って受け身を取ってみましょう。
実際私は学生時代に合気道部の道場においてコミネマン状態で受け身の練習をしたことがあります。
ヘルメットの大きさの分頭を打ちやすかったりプロテクターで身体の動きが制限されたりするなど、バイク装備で取る受け身は胴着とは違った感覚でした。
仮に受け身を練習する気がなくともフル装備ででんぐり返ししてみることをおすすめします。
ジムカーナ、オフロードで学ぶ
あくまでも今までお伝えしたのは武道を応用した受け身。
実際にバイクで転んだ際の受け身は違うのではないかという意見も出るでしょう。
大事故に至らない転倒の受け身を実践的に学ぶのであれば、ジムカーナやオフロード遊びをするのが一番です。
転ぶことが前提のジムカーナやオフロードにおいてはしっかりとした装備で挑むことができるため、ケガをしにくい手の突き方や、転ぶときの感覚を養うのにはもってこいでしょう。
最低限自分を守るための受け身の極意
「格闘技とかやったことない」
「受け身を練習するのは面倒」
「運動神経ゼロで受け身が撮れる気がしない」
という人も多いでしょう。
そもそも武道では「受け身一生」なんて言いますから簡単には習得できないのは当たり前。
そのような方に向けて受け身の基本かつ極意についてお教えします。
「へそ」を見る
背中から倒れる際には自分の「へそ」を見るようにしましょう。
試しにあおむけになって自分のへそを見てください。
必然的に首がもたげて身体は丸くなります。
この「へそを見る」動作が後ろや横に倒れた際、頭部と地面の接触を防ぐことに繋がります。
「身体を丸くすること」を意識する
「へそ」を見る行為も含め、身体を丸くすることが着地の衝撃を緩和してくれます。
極論を言えば丸くなってゴロゴロ転がっていくことができれば無傷で済むはずです。
「転がるときは丸く」をイメージしておくことが大事でしょう。
総論:そもそもプロテクターを付けていなければ受け身は意味がない
実際に事故った、事故を見た経験から言っていくら受け身ができてもプロテクターをしていなければ無傷では済まないでしょう。
これを言ったら元も子もないのですが、はっきり言って素人が受け身を練習するよりも全身コミネマンになるために課金する方が有意義です。
ただ、どんなプロテクターを使っていたとしても曲がってはいけない方向に関節が引っ張られたり、プロテクターで対応できない巨大な衝撃が加わったりしたらケガは免れません。
プロテクターを着用したうえで受け身を練習するのが個人的には重要だと思います。