消防団

時代錯誤甚だしい消防団の操法大会はなぜ変わらないのか?

自分は消防団員として3年目に突入しました。

自分自身は消防団が好きであるし、仲間との交流や町の安全、防火のために活動できていることを誇りに思っています。

しかしながら、消防団員の数は減る一方です。

その理由としては、高齢化、サラリーマンの増加による参加率の減少、地域のつながりの希薄化などがあげられ、これは消防団についての書籍や新聞などでも指摘されていることです。

しかしながら、今の若者が消防団に入りたがらない理由としては、「操法大会」とその訓練が大きなウエイトを占めているのではないかと考え、本記事を書いていきたいと思います。

私は、本当の火事場にて最前線で消火活動をしたこともあり、また操法大会の選手として県大会にも出場したことがあります

自分としては、現在の操法訓練に全く意味がないとは思いませんが、操法訓練には時代遅れな部分は多々あり、現実の状況に即して変えていく必要があると強く考えております。

操法の内容は昭和からほとんど変わっていない時代錯誤なもの

操法が現在の形になったのは昭和47年(1972年)です。

これは、消防庁告示第2号によって記されています。

それ以来、形としてはほとんど変わっていないようです。

昭和47年といえばあさま山荘事件や田中角栄の日本列島改造論など、高度経済成長期の真っただ中

建物も木造平屋建てばかり、現在とは全く違います

その当時に定められた操法を令和の現在でもそのまま続けているのはおかしいというほかありません。

実際の火事場では操法の通りにはいかない

実際に自分は何度か火事場の最前線で放水したことがあります。

一番大きい火事では、消防車が積車も合わせて15台ほど、ホースも8線(消防車から筒先まで伸びる一連のホースのことを線といいます)出しました。

現場では、基本的にホースを延長してからはポンプ側と筒先側にトランシーバー要員を配置し、お互いに合図を行って放水をしているのが現状です。

ただ、大きな火災現場でどれが自分のホースかわからなくなった時には、筒先とポンプを往復しながら、口頭にて号令をかけたこともあるため、操法自体に全く意味がないとは思っていません

阪神大震災や東日本大震災などの広域で発生する大災害が仮に発生した場合には、人員や機材が限られてしまうことも十分に想定されます。

そのような極限環境においては、やはり手信号や号令のような原始的な、あるいは現在の人間が時代遅れであると思われるような手段を日ごろから覚えておく必要はあると思います。

しかしながら、操法の訓練おいてはトランシーバーの併用など現代的な方法を取り入れてもいいのではないかと考えます。

操法訓練によってスキルが向上するのは選手だけ

操法訓練は、一般的に毎年行われております

自分の分団では、毎年できるだけ違うメンバーが5名選出(補助員含む)され、小型ポンプ操法を行っております。

昨年選手をした先輩が選手の面倒を見るという形になっております。

すなわち、操法の技術は1年に5名しか継承されないのです。

したがって、火災現場に4番員(ポンプ担当)がいないと放水が満足に行えないという危険性すらあります。

トップダウン型の技術継承といえば聞こえはいいかもしれませんが、自分としては全ての団員が満遍なく技術を持っていた方がいいのではと考えてしまいます。

操法の過剰な訓練に団員が疲弊する

操法大会の訓練は、半年近くに及ぶことがあります。

自分が県大会に出場した際は、1月から走り込みをはじめ、ゴールデンウィーク明けから大会のある8月までは週3回、19時から22時までの練習を行っていました。

もちろん、仕事終わりに駆けつけているわけです。

練習が終わった後にはホースの片付けや反省を行うため、解散になるのは24時近く…。

これでも他の消防団の訓練に比べたら少ないほうであると思います。

自分は月50時間ほどの残業をこなしているため、消防団と仕事との兼ね合いから過労により何度か体調を崩してしまい仕事を休む羽目にも陥ってしまいました。

また、台風や水防訓練など、土日も一般の行事で潰れてしまっているため、家族持ちの団員にとって操法訓練がかなりの負担になっていることは間違いありません。

「消防団=操法」のイメージが新規団員の減少に繋がっている

操法訓練は一般的に市営や町営のグラウンドや消防署の施設をお借りし、1年の間に半年近く行うものであります。

主に高齢の市民の方やOBの方に応援されることもしばしばあります。

必然的に、「消防団=操法」という考えを持っている人がほとんどでしょう。

操法訓練の辛さを見聞きした若い世代が、消防団に入ろうと思うのも難しいと思います。

なぜ皆が嫌がる操法はなくならないのか?

操法が消防団のアイデンティティだから

上述の通り、操法訓練については1年の半分以上をかけて訓練するものであり、消防団において一番ウエイトを占めるものであります。

すなわち、操法が消防団のアイデンティティであるといえるのです。

消防団員の中にも操法訓練なんかバカバカしくてやってられないよと内心思っている人も多いのですが、多くの消防団員は操法訓練に命を懸けているといっても過言ではありません。

もっとも、操法訓練が好きではない人は消防団に入りたがりませんし、出席率も低下していきますので、現在も残っている団員は操法が好きな人たちばかりになってしまうのです。

消防団OBが議員であるから

消防団は、市区町村等各自治体の下に存在している集団であるため、消防団の運営に関しては、自治体の防災部局等が担当しています。

操法のあり方を変えるにあたっては、団員の意思だけではなく自治体との合意形成も必要になってきます。

仮に操法の廃止を訴え、自治体とのアライアンスが取れたとしても自治体は議会へその旨の説明をしなければなりません。

しかしながら、議会では大きな反対を受けることになるでしょう。

なぜならば、議員の多くは消防団のOBであるからです。

地元に貢献していただいている地方議員の方々には若いころに消防団員として活躍されている人が多くいます。

そのような方々は、若いころの操法も当然経験しているのです。

地方議員が仮に操法の廃止・見直しについて反対してしまえば、操法訓練の改革は頓挫してしまうのです。

消防団のあり方を変えることに時間がかかるから

前述の通り、操法訓練の改革は消防団の根幹を揺るがす大きな問題となりえます。

団員・分団・本団・自治体・議会・OB・消防協会などなど…、さまざまな利害関係者との協議を行い、合意形成が図れなければ操法訓練の改革は行えません

そのアライアンスを形成するためだけでもかなりの時間を要します。

また、これからの消防団をどのような形にするか?という問題については、さらに時間を要するのは間違いありません。

これは団員だけではなく消防庁がガイドラインを出すなど日本全体の消防団が考えていくべき事柄であると考えます。

これから消防団は「操法」にどう向き合っていくべきか?

地震・津波に対する訓練を増やすべき

南海トラフ地震とそれに伴う津波など、広域に被害を及ぼす大災害の発生が危惧されております。

消防団員は、大災害の時に対応することも求められております

東日本大震災においては、津波によって破壊された沿岸部において自身も家や家族を失いながら何か月も活動された消防団員の方々もいます。

しかしながら、地震や津波発生時の訓練については、操法と比較して十分に行えていないのが現実であると思います。

自分が属している分団については、南海トラフ地震の津波浸水区域にあり、津波発生時には水門や防潮扉を閉めるよう命じられており、その訓練も年に4回ほど行っております。

しかしながら、大災害発生から1日~数週間経過するまでの対応についての訓練を行ったことがありません

まちが大きな被害を受けた際、自衛隊やボランティア等と共同して復興する訓練や、がれきに残された人を助け、搬送する訓練等を拡充していくことが、令和の消防団の活動として重要なのではないかと思います。

ポンプ・ホース以外の様々な道具を用いる訓練が必要

操法訓練においては、ポンプとホース(と鳶口)を用いて訓練をしています。

しかしながら、実際の火災現場でははしごを利用したり狭いところをバールでこじ開けたりしながら消火活動をしています。

もちろん酸素マスクを着けて建物に飛び込むような活動については常備消防(消防士)の方がやってくれます。

しかしながら、自分たちにおいても作業の幅を広げるためにポンプやホースだけではない道具の使い方を知っておくための訓練は増やすべきでしょう。

消防団の訓練は操法大会ではなく実際の災害時に生かすためのものだ!

操法訓練については先にも書きましたが、必要ではあるが、変えていかなければならないというのが自分のスタンスです。

実際の災害において生かせられなければ訓練に意味はありません

現在の操法訓練については、訓練のための訓練をしている状況に陥っていると思います。

これを現実に即したものに変え、災害の在り方が変わっている現在において地震や津波などの訓練を拡充させていくことが今後の消防団として必要となってくると思います。

実効的な組織へと変革させていくことが、消防団の運営資金を支払っている国民の皆様に対しての責任ではないかと考えています。

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